くもろぐ

ポケカとかするマイオナマン

ソロモンプログラムはキッズにウケるのか

ソロモンプログラム、知っていますか?

 

コロコロコミック2月号増刊の「ミラコロコミック」に、先取り体験版シリアルコードが付属された、オレカバトルカルネージハートオトカドールをトッピングしたようなNintendo Switch用のKONAMI製ゲームソフトです。

 

キャラクターの動きを予め[対象][その条件][行動]の3つのプログラムチップで用意しておき、戦わせるというシステム。
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プログラミング教育の流行をキッズ向けゲームに活かすアイディアなのだと思います。とはいっても、キャラの行動をプログラミングするゲームの歴史自体はかなり古くからあります。

 

あ、その前に、誰やねんお前という話ですが、

kumoridai.hatenablog.com

こんなのとか

kumoridai.hatenablog.com

こんなのを作っていたオトカドールプレイヤーです。

 

そしてカルネージハートエクサ

www.artdink.co.jp

が好きだった者です。くもりと申します。

カルネージハートはキャラプログラムゲームの走りとも言える、めっちゃハードなロボゲーです。くもりはコレに大学受験を救われました。

 

ともかく、ソロモンプログラムみたいなシステムとオトカドールが好きそうとだけ伝われば大丈夫です。オレカ畑のことはほぼ分からないので、偏った意見になるのをご了承ください。

 

 

オトカドールは、2017年7月を最後に原作ゲームの更新が止まり、公式サイト更新やグッズ展開はちょいちょい発生したものの、それも半年以上途絶えていました。

 

そんな中、このソロモンプログラムに予告なく出現したプリッドとウエステ。

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供給が途絶え枯れ果てたかのように思えたオトカドール畑に突然降った大粒雨。

私の周辺はそんな雨を待っていた人でお祭りみたいになっていました。

 

しかも私にとっては好きなものと好きなものが突然悪魔合体した、ステーキの唐揚げみたいなソフト。

 

ですが、実際にプレイすると、

 

ん? んん……?

流石に説明が足りなくない…………?????

 

初期オトカドールの説明不足は、ノーツを叩く/コマンドを選ぶ/着替えて写真を撮る という、伝わりやすいデザインゆえになんとかなっていたはずです。

それでもニャンドラの鍵の必要性など、大きいお友達にもシステムがよく分からずTwitterで助け合う姿が散見されました。

 

それを、『プログラミングゲーム』という、ゲーム界で最も複雑と言っても過言ではないジャンルで、キッズ向けを謳っている作品でこの説明量……。

一応チュートリアルとミラコロのストーリー漫画はありますが、この手のゲームで説明をしすぎるということはありません。

 

具体例を挙げます。

 

①攻撃やEXメカニズムの効果が全くわからんやん

例えば【ひょうい】って書いてあるワザが何をするのかさっぱり分からない。まあオトカドールも効果は書いてない。そっちは殴るかステータスアップだから大して問題にならないけど、もっと複雑な効果があるようなら流石に予め読める説明文くらいは必要でしょう。何を考えてプログラムしろって言うんだ。カードに印刷するわけじゃないんだぞ。

 

②オーダーバイってなんやねん

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プログラムは上から実行され、条件を満たす行だけが行われるのですが、戦闘中にゲージを消費して手動で優先度を変えられます。全く使えなくはないけど、そもそも順序変えるほど行数作れる奴があんまりいないです。これが戦闘中に説明無しでいきなり出てきて、発動可能時間のカウントダウンが始まる。え、何、英語じゃん、分からん分からん……ってなる。よく見ると下に説明が書いてあるが……。

 

③どのプログラムいじれるねん

プログラムチップを置くマスは最初ロックされていて、成長に応じて開放される……と思いきや、Aそもそもチップが置けないマス B成長しても置いてあるチップを変えられないマス C成長するとチップを変えられるマス の3種があるようで、当然のように説明されません。育てていって賢い子になる見込みがあるのか分からない。

敵がやってくるけど自分はできない[行動]があるっぽいのも謎。ルーチンが違うのはともかく、同じキャラに見えるのにできる動作そのものが違うことある? スライムのゲージ貯めるやつをこっちにもやらせろ。やり込むと出来るんか?それも謎。(追記: ムダンエンセーで獲得するらしい)

 

 

加えて、システムそのものへの不満点。

 

 

④テンポが悪い

先程のオーダーバイとEXワザを撃つかどうか選択する画面。【発動可能!】のテロップが出ている間は操作を受け付けません。それが自陣に4キャラ、EXとオーダーバイで2回ずつ起こる。プログラミングゲームはトライエラーを繰り返すので、細かいイライラはどんどん蓄積していきます。戦闘早送りがボタン押してる間だけなのもどうなんだ。

一部の敵がターゲットにならなくなる遅延スキルをひたすら使ってくるのも険しい顔になる。EXゲージが溜まってユニット復活からの逆転の見込みがあるのも分かるから、なおやるせない……。延々とプレイしてると、ウエステやスライムが毎ターン2度チャージのモーションを行なうのも長く感じる。製品版にはカットインやムービーのスキップ設定があってもいいかも。

テンポへの無理解は最も致命的な問題だと思いますが、これはあくまで体験版。まだまだ改善されうる点だとは思っています。

 

 

ここから先は私怨です。

 

⑤そもそも自由度がほぼない

大型キャラの中に幾つかいる4×4マスを全て使えるキャラ以外、ほぼプログラムにいじれる部分がありません。2回殴るか移動して殴るか選べると良い方かな。

キャラ固有の[行動]はともかく、[対象]と[条件]のチップもキャラ固有ですが、そこは[条件]チップも含めてキャラデザインだと納得することはできます。

戦闘に寄与するのはプログラム3割・キャラ復活の配置5割・EXワザや復活のタイミング2割くらい。スルメゲーとするには自由度が低すぎ、レバガチャゲーとするには難しすぎる。どの層を狙ったゲームなんだ?

 

ランダムエンカウントしかないのに試行錯誤

どんなに育成してプログラムを練って配置に気を使っていても、負けるときは負けます。キャラ・戦術同士の相性があるので当然です。なるほどこのチップが良くなかったのか、よし調整したし再戦するぞと思うと違う敵に当たります。勝った時に限ってまた同じ敵に当たったり。試行錯誤できない。

流石に製品版では、ストーリーに沿って決まった敵を選んで戦ったりできると信じています。欲を言うなら、ネット対戦が実装されて全国のプレイヤーやフレンドがアップロードしたパーティと戦ったりしたいし、それもランダム対戦とは別に「さっき戦ったパーティと再戦」みたいな機能があったらいいなあ。

 

⑦同条件の敵がランダムで選ばれる(よね?)

ソロプロのプログラムでは敵ユニットをマス目上の距離で判別します。例えば、[最も近い] [敵ユニット]が2体いるとき、どうやらランダムで選ばれるようです。

うーーーん……。賛否両論あるシステムだと思います。

これもこれでアリですが、ユニットが右往左往してヤキモキすることも多々あるので、「実はユニットから見て右から優先」とか「正面に近いほど優先」のような、最初は分からなくても困らないけど、ゲームシステムがほとんど分かったあとに理解すると、めっちゃ奥が深いことに気付く感じの方が、好み…かな……。法則がある分にはデメリットないんじゃないかと思ってます。本当はもう法則があって、私が気付いていない浅い子なのかもしれませんけども。(距離判定自体もおかしいときがある気がします。こっちは本当にカン違いかもしれない)

 

⑧もっと眺めさせてくれ

もう完全に好みの話ですが、ゲーム中にプレイヤーが必殺技やら復活やらを指示するより、その条件も予めプログラムしておいて眺めるだけの方がくもりは好きです。でもキッズ向けゲームに求められるものはそうではないのも分かります。これは他の人と意見が違いそう。許してくれ、オタクは初めて見たプログラミングゲームを親だと思って付いていくので……。

 

悪いところばかりを挙げていますが、わざわざ批判するのは良いところもかなりあったからです。フォローとかじゃなくて本当に。

 

Ⓐただただ供給があっただけで嬉しい

そのままです。新規セリフ、ボイスもあるし、BGMがオトカ曲アレンジだし、遠征に出すと鼻歌でうろ覚えのイツモノワタシ歌ってくれるんだぜ。歌詞あやふやじゃん。鳥のように自由に飛びたいとあんまり思わなくなってそう。めちゃくちゃ可愛い。家庭用ゲーム機へのオトカドール移植してくれって言ってたのがようやく叶ったとも言える。TV画面にオトカキャラが映って動く家庭ある??? あるんだなそれが。 製品版ではお願いだからアイディを実装してくれ。公式のアイディを動かさせてくれ。

 

Ⓑ間違いなくキッズ向けジャンルの金脈

昨今の教育トレンドを聞くに、「ゲームするだけじゃなくてプログラムも学べる」というキャッチ―なフレーズの家庭ウケは容易に想像できます。難しいジャンルですが、間違いなく金脈です。ニンテンドーラボが流行ったんだから当然需要もある。マインクラフト、マリオメーカー、ニンジャボックス等、くもりの知っている範疇でも類似の需要を満たす有名タイトルがあり、市場が出来ていってるのも分かります。強豪の競合とも言う。

 

Ⓒ良くも悪くもやることがシンプル

良いところ探しなのに"悪くも"って付けちゃった。くもりだから。自由度の低さを批判したましたが、やるべきことや正解が明快とも言えます。Ⓑで挙げたタイトルはどれも腰を据えた創造力を要するもので、もしそこを目指していないなら別の市場が開拓できるのかもしれない。そっちの方がキッズ向けゲームとして分かりやすくはあります。

 

 

総合すると、『懐古勢はどんなソフトでも遊ぶけど、新規キッズを取り込むためのハードルはもっとずっと高いのでは? 』って気持ちです。

もしくは、かつてオレカをしていた中学生くらいを狙っているんでしょうか。まだ懐古するところまでいってない年代な気もするんですが……。

そしてオトカ勢にあるまじき発言ですけど、男児向けっぽいこのゲームにそもそもオトカの美少女は求められているんです? 私が小学生の頃は『ポケカの「ミニスカート」が強い』って主張しただけで『うわっこいつエロっ!』みたいなこと言われましたけど、最近の子は違うの?

 

アーケードゲームに必要なのだろう『短い拘束時間で説明しきった感じにする』手法は、家庭用ゲームに必要なものとは全然違うはずです。買い切りなんだから、飽きないようになっていれば、何度もチュートリアルしていいんやで。

 

 

体験版はルールが大体分かってくるとプレイしていて楽しいですし、オトカドール畑、プログラミングゲーム市場、その2つが重複するこのタイトルを買い支える気は満々です。

ですが、この体験版が子どもたちにとって楽しい体験になるのか疑問です。

 

このゲームはプログラムを主題に置く以上、「試行錯誤することの楽しさ」を子どもたちに伝えたい作品なのだと思っています。

その楽しさは「システムやスキル内容の把握に試行錯誤する」のではなく、「理解したゲームのルールのもと、どうやったら勝てるか試行錯誤する」楽しさであるべきなのではないでしょうか。

システムの検証を楽しめるのは、大きいお友達でもごく一部です。

 

とにかく、ゲーム内のシステムについても、作品そのものについても、間違いなく説明が足りていません。

他のブログでも言われていますが、宣伝足りないのもKONAMIの明らかな悪癖。オトカドールときめきアイドルを通ったくもりにはわかる。

 

これはあくまで体験版かつ先行版なので、まだ完成度が上がっていくはずです。

特にテンポ面は絶対に改善すべき。システムの根幹は変わらないでしょうから、カルネージハートの影を追い求めるのは流石にお門違いですね。

 

折角恵まれたタイトルと恵まれたタイトルのコラボ作品を素敵なシステムで作るのだから、マーケティングまで含めて完成度の高い作品を期待しています。

 

続きはこちらで。

kumoridai.hatenablog.com